世界で一番キレイな夜に

 あなたは、サンタクロースを信じてる?

 ――― Yes or No?




 夜景に映えるイルミネーション。
 いつもより少しだけゆったり動く世間。
 子どもが明日をいつもと違う期待して眠る夜。

 …………というと聞こえはものすっごくいいが、この職業にとっては最大の修羅場であり仕事納めであり。
 景色なんぞ眺めてる余裕なんてナイっちゅーの。

 言うなれば、一つの『職業』。
 ノルマだってあるし、時間内に配んなきゃいけない姿見られちゃいけない支給のユニフォーム着てなきゃいけないっていろいろ規則だってあるんだ。
 この赤白の服、防寒ばっちしなんだ。
 とゆーより、これ変装っしょ、『変装』。
 着ると誰も彼もが髭のじさまに見えちゃうんだから世の中不思議だこりゃ。
 トナカイのそりについてはさ、けっこう自由が利くんだぞ。
 ぶっちゃけ、トナカイでなくてもOK、そりでなくてもOK。
 おれっちの場合はビィで行ってる。
 …………へ?知らないのか??白チワワと覇を競う人気と一部で噂のトリ。
 …んまぁとにかく、鈴が付いてりゃ何でもいいらしいっしょ。

 そろそろおれっちの仕事、わかったか?
 サンタクロースさんなのだ。
 昨今は人手不足後継者不足で、世の中のとーちゃんかーちゃんが代行してるくれるからどーにか成り立ってたりもすんだけど……あ、これオフレコね。

 最初は、『いる』って言う。
 んだけどいつの間にか、おれらのこと『いない』って言い出す。
 ……………ココロの奥に、仕舞い込んで鍵かけちまうんだ。
 そんなとき、おれっちはちょっと、寂しい。

 でも、おれっち『いない』にはぜーったいならない自信があるっしょ。
 何故かって?
 ふふふんっ♪
 世の中のとーちゃんかーちゃんが、ココロの中におれらを残しといてくれるからっしょ。
 それが消えない限り、よいのだ。
 親が子どもの喜ぶ顔が見たくてプレゼントを置くことがこの世界から無くなる日なんて、来ないって信じたいんだっ。
 なぁんちゃって。


 うを?


 だーっ!?
 もう日付が変わってんジャン!?

 規則に反したら衣装班所属の妹が怖ぇのなんのって………!

 んじゃっ☆


「あ、めりくりっv」


   :
   :
   :


 さーて、ここの家のお子様は………


  じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


 ………起きてんなよ子どもぉ。夜中だぞ〜。
 っちゅうかおれっちもしかしなくても規則違反??


  じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


「じじ、あく?」

 じじあく?
 …あ、『爺ぃ、悪?』かもしかして?
 いんや、おれっちは怪しいけど悪じゃありまっせ〜ん。

「寝ルぞよ」

 ………………あ〜、寝とくれ寝とくれ。
 つぅかおれっちがここにいて何も問題無いんかい嬢ちゃんっ!
 それは危機管理上どーかと思うぞサンタさんとしてはっ!←意味不明


 とにかくっ、仕事だ仕事っ!




「めりくりっv」


 あ〜あ、皿洗いだけで済めばいいけどなぁ…とほほほ



 ――― 翌朝、その少女が持っていたものに娘は頭を捻る。
 ――― 少女が手にしていたのは先にふさふさとした穂のついた秋草。
 ――― その季節はずれの秋草が揺れるたびに、哀しき本能で翻弄されてしまう白猫一匹。



 小さな幸せ、ひとつ。
 Merry Christmas♪

/おしまい/
 みていさんからクリスマスプレゼントをいただきました(><)
 みていさんのオリキャラ、イズにーさん扮するサンタさん。何だかプレゼント置きに行った先で、暖房効き過ぎて毛布蹴飛ばしてる子どもに毛布かけ直したりとか、かいがしく(子どもの目をうっかり覚ましそーな)危険なことをやっていそうです(笑)
 みていさんのこのお話は、サンタがサンタじゃないことを知ってしまった私たちへ届けられるお話です。とてもすてきなお話だと思いませんか。

 私たち大人がサンタさんの存在を忘れずにいる限り、サンタさんはこの地球のどこかでいつでも暖炉の前で子どもたちにあげるプレゼントを用意しているのです。

 このお話は、同じ星光卍会のゆえさんのHP『The Moon of Tales』の所にも掲載されています。そしてなんとラストのプレゼント部分だけは、それぞれのオリキャラのもとに、イズサンタさんからのプレゼントが届いてるのですvv
 寝ない子ユズハにさぞかしイズサンタさんは困ったことでしょう(笑)

 みていさん、すてきなお話をどうもありがとうございましたvv