その頃、安倍邸では彰子が自室や
厨、昌浩の部屋などを何度も行きつ戻りつしては神将たちの不審をかっていた。
「―――彰子姫、どうなされたのですか」
どうも何かを探しているらしい風情の彼女に、顕現した天一が穏やかに声をかける。
ふり返った彰子は、少し困惑した様子で答えた。
「扇を―――探しているのだけれど」
「扇………ですか?」
《昌浩の部屋にあったあれは違うのか?》
平淡な子どもの声がして、十二神将玄武が傍らに顕現する。
「あれは昌浩の扇よ。昌浩、今朝忘れて参内してしまったの」
「解せぬな。今朝、我が見たとき昌浩は懐に扇を挿していたように思えたが」
玄武の言に、彰子は目をしばたたいた。
確証はないが、朝餉のとき神将のうち誰かが隠形して晴明のそばに控えていたような気もする。それが玄武だとすると、昌浩は扇を持って参内したことになる。
しかし、昌浩の扇は現にいまも彼の部屋の文台の上だ。
「もしかすると………」
控えめに天一が彰子と玄武の会話に口をはさんだ。
「昌浩様が持っていかれたのが、彰子姫の扇なのではないでしょうか?」
「え………っ?」
彰子は声をあげかけて、慌てて口元を袖で押さえた。顔色が赤くなったり青くなったりと、ただごとではない。
「姫?」
「いかがした。何か余人に見られてはまずい扇なのか? 名でも書いてあるとか」
だとすると非常にまずい。いまからでも我らが内裏まで行って受けとってこよう―――
生真面目にそう提案する小柄な神将に、彰子は首を横にふった。
「あっ、ううん。名は、書いてないのだけれど………ええと」
神将二人から見つめられて、彰子は思わず視線を泳がせた。
昌浩が今日一日扇を開くことなく、そのまま帰宅してくれればいいと思った。
「―――昌浩殿、このいささか感心できない扇の絵柄は君が描いたのかね」
敏次の再度の問いかけにも、昌浩は硬直しながら自身の扇を凝視するしかなかった。
物の怪と雑鬼三匹。
何度見ても、白紙だったはずの扇に物の怪と雑鬼三匹。
おまけにやたら上手い。物の怪の尻尾の曲線など見事なものだ。雑鬼たちも特徴が出ていて、いまにも飛び跳ねそうに見える。が、そんなことに感心している場合ではない。
いったい自分はいつまにこんな落書きを。いやよく見ると扇自体が真新しい。ということはこれは自分の扇ではないということだ。ならば誰かというと、それは扇の余白に書かれた歌の手跡を見れば一目瞭然だった。
何ともいえず、優美でなよやかな―――。
大問題である。
昌浩が固まっている背後では、雑鬼たちとひとまとめに数えあげられた物の怪がぎゃんぎゃん喚いていた。
「くぉらっ! この俺様を匹! 言うに事欠いて雑鬼どもと十把一絡げに『匹』と数えるとはどういう了見だ! 敏次っ!」
《十把どころか、お前を除くと三匹しか描かれてないが………》
「六合、お前まで俺を一緒に数えるなっ! 俺が匹なら同じ将のお前も匹だぞっ!」
いや、それはどうだろう。六合はもっくんと違って物の怪の姿とってないし。
そう思いはしたものの、下から見あげてくる敏次の視線から目をそらせず、昌浩は冷や汗を流していた。
どう切り抜けるか。自分が描いたというのはかなり苦しい。自慢ではないが絵才も微妙なのだ。さらに言えば、そう強い見鬼ではないということになっているので、ここまで躍動感溢れた雑鬼たちの絵を描くには無理がある。おまけに敏次は昌浩の手跡を知っている。扇に書きつけられた手跡が誰のものか問われたらどうごまかせばいいのだ。
「昌浩殿?」
「えっと、ですね、それは………」
頬をひきつらせながら、昌浩が答えかけたときだった。
「―――おや、おじいさまの扇じゃないか」
「そう、じい様の………えっ?」
「博士」
座っている敏次はもとより、立っていた昌浩も、新たな声の主を見あげた。
今日も今日とてどこへ行くつもりだったのか、通りすがった歴博士、安倍成親は立ち止まって昌浩の肩越しに扇を覗きこむと、爽やかな笑顔を浮かべた。
「昌浩もめずらしい扇を持ってきたことだ」
「博士はこの扇をご存じなのですか。………晴明様の扇なので?」
「うむ。これは、お祖父さまらしい遊び心で描かれたものだろう。何せたいていの妖を見ることのできる方だ」
成親の言に、敏次が目を瞠って、扇に目を落とした。
「では! これらは実際に晴明様が御覧になられた妖なのですか!」
「実際も何もお前の目の前にそのうちの一柱がいるだろうっ! 気づきもせんのに偉そうに!」
物の怪はなおもやかましく喚きたてている。
数え方が『柱』になっているあたり、物の怪はよほど匹扱いされたのが気にくわなかったらしい。まあ、十二『神』将ということを考えれば柱で間違いはないかもしれないが。
「晴明様はこのような異形のものを目にしておられるのか………!」
どうやら不審が感動に変わったらしい敏次は扇を手にしたまましばらく動かなかったが、ふと絵のほうから歌のほうに視線を移した。
「しかし、こちらは晴明様のお手というよりも、どちらかというと女性の手のような………」
昌浩は内心ぎくりとしたが、それすらも成親は軽やかに笑って言ってのけた。
「こちらはいまは亡きおばあさまの手だろう」
物の怪が軽くずっこけた。もはや昌浩は唖然としたまま言葉もない。
「おいおい………」
《………少しばかり苦しいな》
六合の言う通り、扇の紙も墨の跡もかなり新しいのだが、敏次はそんなことには気づかずおおいに納得している。
「なるほど、絵を晴明様が描かれて、歌を晴明様の北の方が………昌浩殿!」
「は、はいっ!」
昌浩が背筋を伸ばして返事をすると、敏次は丁寧に扇をたたんで手渡し、続いて厳しい顔で説教をはじめた。
「貴重なものを偶然拝した私がいうのもなんなのだが、何だってこのような物を出仕に携えてくるのだね! 晴明様が大切にしておられる北の方との思い出の品なのだろう !?」
ものすごい誤解なのだが、昌浩はぎこちなくうなずいた。
「すいません。どうも今朝方、扇を取り違えてそのまま参内してしまったようです」
「気をつけたまえ。どうにも君はそそっかしいところがある。現にいまも扇を落として私に拾われた。大切な扇が傷んでしまっては晴明様も悲しまれるだろう」
「はい。気をつけます。反省しています」
それはもうおおいに。
頬どころか全身ひきつり気味の昌浩の肩を、成親が笑いながら軽くたいた。
「にしても、歌はなかなか色めかしい。私も久しぶりにめずらしいものを見せてもらったよ。今度、家に行くからその時にでもまたじっくり見せてくれ」
「………本人に返しておきますので、本人に訊いてください」
苦虫を噛み潰したような顔で昌浩が答えると、成親は唇の端を持ちあげ、ではと片手をあげて立ち去っていった。
「いかん。私としたことがとんだ長話になってしまった。昌浩殿も仕事に戻られよ」
「はい」
昌浩は一礼し、文台の書物の山へと戻っていった。
扇をしっかりと懐におさめ、書物を抱えなおしたものの、動揺の波からはまだ立ちなおれていない。
成親のとっさの機転に助けられたものの、そもそも何で彰子の扇が自分の袂に。
それで昌浩は、はたと気づいて物の怪を睨んだ。
「もっくん! もっくんだろ、今日扇とか烏帽子集めてたのって!」
「それはそうだが、そもそもお前が寝坊しなきゃよかった話だろうて、晴明の孫」
「孫言うなっ!」
「………しかし藤の花が扇にこんな落書きをするとはねえ」
《―――上手かったがな》
六合の呟きに、昌浩はうなずくかわりに頭上を仰いで息を吐いた。
意外だったのもたしかだし、上手いなあと思ったのもたしかだった。
それにしても。
「成親兄上、あの歌のどのあたりを色めかしいなんて思ったんだ?」
「…………」
《…………》
しばらく書物を抱えたまま歩き、昌浩は物の怪と六合の沈黙に気づいて首を傾げた。
「どうしたの? もっくん、六合」
「あーまー、歌の解釈は何通りもあるからな、うん。成親はそう思ったんだろう」
色めかしいという単語そのものが、昌浩の口から出てくると全然色めかしく聞こえないのが不思議である。人徳というものか。………人徳ではない気もするが。
さかんに首をひねっている昌浩の横を歩きながら、物の怪は思った。
ま、今回これは成親のほうがが穿ちすぎというものか。向こうもわかってて言っている節がある。
しかし成親が助けに入っていなかったら、いったいどうなっていたのやら―――。
「お帰りなさい、昌浩」
「ただいま、彰子」
いつもどおり昌浩の帰宅を出迎えた彰子だったが、その態度がいつもどおりとは言いがたかった。
昌浩が髷をといてくくりなおしたり、狩衣に着替えたりする間中、そわそわと何か言いたげで落ち着かない。
「彰子?」
ひととおり身支度を終えた昌浩が円座に腰を下ろすと、彰子はしばらくどうしようか迷っていたが、やがて向かい合って座り、意を決したように口を開いた。
「昌浩、あのね、ちょっと訊きたいことがあるんだけど………」
顔つきは真面目だが、膝におかれた両手を握ったり開いたりと忙しない。
何となく見当がついた昌浩は聞き返さず、着替えの際に袂に入れなおした扇を取りだした。
「もしかして、これのこと?」
彰子の顔が一瞬にして真っ赤になった。
ぱっと扇を昌浩の手から取ると胸に抱きしめてうつむき、それから上目遣いに昌浩のほうをうかがう。
「………………見たの?」
「………えっと、まあ」
問いというより確認だったので、気まずく思いつつも昌浩はうなずいた。
途端に、彰子はますます顔を赤くして小さくなってしまった。その恥ずかしがりように、これで実は昌浩に物の怪、六合だけじゃなく、敏次と成親まで見てしまったと知ったら、茹であがってしまうのではないだろうかと物の怪はいらぬ心配をする。
いまにも涙目になりそうな彰子に、昌浩がなかば腰を浮かせかけながら慌てて言った。
「だ、だいじょうぶだよ上手かったし! そっくりだった!」
「………昌浩や、それは慰めになっとらん。まあ、上手かったのはたしかだが」
描かれた物の怪本人の言葉に、彰子がわずかに顔をあげた。いたずらを見つかった子どものような顔をしている。そういえば昌浩も小さい頃、何かちょっとしたいらずらを仕掛けては見つかるとこんな顔をしていた。そのことを思いだして、物の怪はちょっと笑ってしまった。
「………勝手に描いてごめんね、もっくん」
「あー、まー、次からは一言断ってくれや。さすがに驚いたから」
物の怪がそう言うと、小さなうなずきが返ってくる。
「それにしても何だって扇にもっくんと雑鬼を描こうと思ったんだ?」
「何を描こうか迷ってて。もっくんだけにしようと思ったんだけど………」
昌浩の問いに、彰子は恥ずかしそうに答えた。
最初は花を描こうかとも思ったが、特に描きたい花も思い浮かばず、すぐに思いなおした。人物を描くには彰子の絵の技量ではいまひとつだったし、歌にしても、扇に書きつけて持っておきたいほど好きな歌というのも急には出てこない。
花でなければ蝶はどうだろう。蝶でなければ鳥とか………でなければ、犬とか、猫とか。
犬。猫。そこまで連想が進んだところで、ごく自然の成り行きというべきか、ぽんっと思い浮かんだのが物の怪だったのだ。―――物の怪本人は自然の成り行きとやらにおおいに文句があるかもしれないが。
そういえば、昔まだ物心つくかつかないかという頃に、自分がどういう妖を目にしているのか周りにうまく説明できなくて困った憶えがある。絵を憶えてからは一度ためしに描いてみたのだが、絵師にものすごく嫌がられてしまったので反省し、すぐにやめた。
ここなら露樹はともかく、他の家人は全員見鬼だ。描いても差しつかえないだろう。
それにもっくんの絵柄の扇は、すごく可愛いような気がしたのだ。
描いてみたら描いてみたらで、久しぶりということもあり楽しくなってしまって、つい雑鬼たちも描いてしまい、余白に歌も書きつけてしまった。
書いたあとで、さすがに調子に乗りすぎたかなと思ったのだが、絵自体はとても気に入ったので、彰子は満足だった。自分が使うわけだし、自分が気に入ればいい。人に見せるのは恥ずかしいので、しばらくは昌浩にも内緒にしておこう。
―――と、思ったのだが、まさかこんなに早々に見られることになるのだったら描くのではなかった。
「………晴明様たちには内緒にしていて?」
「あ、う、うん」
すでにもう成親が知ってしまっていると、言うに言えない昌浩だった。
「あのさ、彰子」
「なあに?」
「もう一度、扇ちゃんと見せてもらっていいかな。寮では大きく開けなくって」
―――彰子の描いたもっくん、もっとちゃんと見たいんだけど。
彰子は頬に朱を散らしたまま、しばらくどうしようか迷っていたが、やがてあきらめて扇を手渡した。昌浩が広げた脇から物の怪がどれどれと覗きこむのを、気恥ずかしげに見守っていたが、ふとそっと息をつく。
「扇って、こういうときのためにあるのかもしれないわ………」
いま手元に檜扇があったら間違いなく掲げて顔を隠している。
「彰子?」
「ううん、何でもないわ」
彰子は慌てて首を横にふった。
昌浩は扇を眺めながら、感心したように何度もうなずいている。
「ほんと上手いなぁ。もっくんそっくり」
「そう………?」
「うん。雑鬼たちも上手いよ。彰子は字だけじゃなくて、絵も上手いんだねぇ」
手放しで誉める昌浩に、彰子もまんざらでもなくなってきて、ちょっと笑った。顔は変わらず赤いが、恥ずかしいからだけではなく、照れも混じってきている。
「絵もお歌も習っていたからやり方を知っているだけよ。お歌は少しもうまくならなかったけど………」
「え? だけどこの歌も彰子が詠んだんだよね?」
「そうよ。でもあんまりうまくないでしょう?」
「ど、どうなんだろう………ごめん、わかんない。そうだ、この歌って―――」
何やら口にしかけた昌浩を、物の怪が思いきりどついた。扇を取り落としかけ、昌浩はどつかれた脇腹を押さえ、涙目で物の怪を睨みつける。
「もっくん、何す―――」
「こっちの台詞だ! お前いまここでそれを聞いたら芋づる式に成親も見たことがばれるぞっ! それ以前にそういうことを詠んだ本人に訊くやつがあるか!」
「えっ? あ、そうか。え? でもそういうことって?」
「おーまーえーなー」
小声でぼそぼそと会話する二人に、彰子が首を傾げる。
「どうしたの?」
「あ、ううん、こっちの話」
慌てて手をふる昌浩に、彰子は怪訝な顔をした。
「………そんなに変なお歌かしら? 普段から思ってることをそのまま詠んだだけなんだけど」
彰子の言葉に、昌浩の手もとの扇に視線を落とした。
扇の右側に物の怪と雑鬼たちの絵が描かれ、空いた左側に歌が一首、書きつけてある。
鬼と女は人に見えぬぞよきなれど まみえて想ふこともありけり
『鬼と女は人には見えないほうがよいと聞くけれど、実際に目にしてこそ、思うこともあるわ』
実に素直な歌で意味もわかりやすい。昌浩にだってわかるぐらいである。
問題はどのあたりを指して成親が色めかしいなどと評したのかなのだが。
彰子は続けた。
「鬼は怖い鬼もいるかもしれないけど、見えなかったらもっくんと竜鬼たちともお話しできなくなってしまうでしょう? 女の人だって御簾を隔てて顔も見えないなんて嫌だもの。御簾なしで目を見て会話するほうがわかることって絶対多いと思うの。………そんなに変なお歌かしら?」
「………ま、普通はそういう意味だよな」
「?」
物の怪の言葉に、昌浩と彰子が二人揃って首を傾げる。その何ともいえずほのぼのとした様子に、物の怪は思わず嘆息してしまった。
昌浩も鈍いが、彰子だってその鈍い当人よりひとつ年下なのだ。当人よりはっきりと自覚しているようだが、まだまだ子ども。意味ありげな歌など詠むはずがない。
彰子が詠んだ歌は、鬼に比重をとるか、女に比重をとるかで歌の意味が変わってくる。
しかしそうなると、途端に意味が変わるのだ。
『鬼と女は人には見えないほうがよいと聞くけれど、実際に会って見たらまた、色々想いが新たになるものだ』
つまり。
―――会ったら会ったで、君に惚れなおした。
そういう意味の男から女へ送る歌になる。
当たり前だが、普通は鬼に重きを置かない。鬼のこととして詠んでいる彰子のほうがおかしいのだ。
しかし、見鬼である彼女にとってはこちらのほうが自然なのだろうし、また鈍いうえに同じく見鬼の昌浩にとってもそうなのだろう。
ここはひとつ、二人が歌のもうひとつの意味に気づくまで黙っておくことにしようか。気づいて同じことを相手に言えたら万々歳だが、果たしてそれはいつになるやら。
少なくとも、互いの顔を見ながら会話する段階をこの二人はとっくに過ぎているはずなのだが―――。
「そうだ。彰子、今度車之輔も描いてみてよ。俺、見たいなあ」
「車之輔を? 大きいし、難しいわ………描けるかしら」
「描いたら、きっと車之輔も喜ぶと思うよ」
何やらほのぼのと会話しはじめた二人に物の怪は呆れつつ、もはや口をはさまなかった。
―――昌浩の普段使いの扇に物の怪と車之輔が描かれるのは、それから十日後のこと。
扇を見せられた車之輔が感涙にむせび泣き、中に隠れていた雑鬼たちが昌浩を潰しながら俺たちも描いてくれ俺も俺もーなどと言いだすのは、さらにその当日の夜。
自分の扇にも雑鬼たちを描いてくれないかと成親が手紙と扇を寄こし、半泣きになった彰子に昌浩となぜか物の怪が平謝りする羽目になるのは、その二日後のことだった。
〈了〉
枕草子に「勝負扇にしようと思って絵の上手い人に頼んでおいたら、イベント当日になってトンでもない絵が描かれて返ってきた。超サイアク」という一文があって、タイトルはそこから。ネタもそこから(笑)
でも「もっくん扇、普通にありそう……」と思ったのが最大のネタ要因です。彰子にもっくん描かせてしまったのは私ですが。
実は、これを書いたのは去年のことで、少年陰陽師グッズにはまだ扇がなかったんですね(笑)。これ書くときに思わず検索しちゃったら、意外や意外なかった。
たぶんまだ誰も思いついていないだけなんだろうなー。思いついたら最後、絶対作られるよなあ。じーさまだって扇でけっこうぴしぱしやってるし。………と思ったら、この話を書いた直後に狭霧殿の日記で発売されると書いてありました(笑)
「鬼と女とは人に見えぬぞよき」というのは「虫めづる姫君」のなかのけっこう有名な一説です。でも、彰子と昌浩はふつーに声を揃えて言いそうです。「見えたほうがいいじゃない」って(笑)
実はこの歌、女のほうで解釈すると二通りあります。実際会ってみたら「惚れ直した」と「微妙だった」の二通り。「想ふ」としか詠んでませんからね。何を想ったかは歌をもらったときのシチュエーションで判断するしかないでしょう。作中では惚れ直した方にしか解釈してませんけど(笑)
ちなみに歌はへったくそ自作です。「人に見えぬぞよき云々」は上記の出典からですが。
しかし、彰子にとって安倍邸初めての夏は天狐騒動で扇どころではなかったはずなのですが、そのあたりはまあ見ないふりでお願いします(爆)
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Aguns Dei]の早坂未森さまのところへ入内したお話です。