桔梗・正装

桔梗・女房装束正装

正月むつき立ち 春の来たらばかくしこそ
    梅を招きつつ楽しみへめ――

                  (大弐紀卿)

 お世話になっている方々に2004年度の年賀状としてお送りしたイラストの、文字なし拡大バージョンです。
 冒頭の歌は万葉集から。「正月になって春がやってきたら、こうやって梅を見ながら楽しみましょうよ」という意味の歌です。まさかこんな、まんま、な歌が存在するとは思いませんでした(笑)

 下の装束情報に詳しく書きますが、扇も背景も手に持っているのも紅梅という、梅づくしの一枚です。正月なんだから、普段、桔梗が着ないような華やかなものにしよう!と梅づくしにしたのはいいんですが、問題は自分の色彩センスのなさで、表着と唐衣の配色を決めるだけで三日も悩んでました。
 描きながらつくづく思ったのですが、たしかに桔梗の髪色は一番上に着る衣の色を選ぶのですよ。ためしに黒髪のバージョンも作ってみたのですが、映える色が全然違います。なるほど赤やら白やら紫を着ないはずだよなぁと納得。
 ちなみに黒髪バージョンはこちら

 なお、詳しい装束情報は下です。
 以前に書いた二作と違い、今回は正装。この恰好なら中宮様の前にだって伺候できます。つまり、内裏で華奈はいつもこんな恰好をしていたということなんですが。
 白小袖に緋袴、青の単に紅梅の匂いの五つ衣、蘇芳の表着、梅の唐衣。そして蘇芳裾濃の裳。さらに梅の背景、竹と梅の絵柄(のつもり)の扇、手に持っているのも紅梅という、まさに梅づくしの一枚。

〈詳しい装束情報〉 肌から近い順に。
 小袖:白
 緋袴(偽装とはいえ結婚しているので・笑)
 ひとえ:色、青(現在の緑にあたります)。地紋・幸菱さいわいびし
 五つ衣:紅梅の匂い(濃紅梅から薄紅梅へのグラデーション五枚)。地紋:八重梅(実際には地紋描いてません)
 打衣:色、赤(実際には描いてません)
 表着うわぎ:色、蘇芳。地紋、七宝。二陪織物ふたえおりもの、白糸にて浮線綾ふりょうせん
 唐衣からぎぬ:色目、梅(表・白、裏・蘇芳)。地紋、小葵。二陪織物、黄朽葉と紫の糸で向蝶丸むかいちょうまる
 裳:蘇芳の裾濃(裾に行くにつれて色が濃くなる、白とのグラデーション)。地紋、三重襷みえだすき
  ※ 引腰の縁取りは裳に合わせて蘇芳。地紋は「か」文ですが、実際は描いていません。差し糸は五色。
  ※ 小腰は鎌倉以降の故実に従い、唐衣と共布です。迷ったんですがこのほうが見た目がいいので。