SLAYERS on Ice  〔1〕

 絡みつく緊張の糸をふりきって、エッジは氷を蹴る。
 蜘蛛の巣から蝶が飛び立つようだと、アメリアは思う。
 氷上に立っていると、演技への集中力からまた違う種類の緊張を感じるものだが、リンク脇から見ているいまはそんな陳腐な感想を抱く。
 だれよりも高く、だれよりも遠くへ。
 トリプルアクセルから始まる三回転−三回転のコンビネーション。
 見事に着氷が決まった瞬間、爆発するような歓声と拍手が緊張の残滓を吹き飛ばし、圧倒的な高揚がアリーナを包みこんだ。
「あいつが飛ぶと、三回転のコンビネーションが実は簡単なんじゃないかと思えてくる。アクセルからの三回転だぞ、アクセルからの。何を考えているんだ」
 傍らにいたゼルガディスが呆れた口調で呟き、アメリアは黙って苦笑した。
 やわらかく伸ばされた手足。自然なようでいて、爪の先まで計算され、統制された華奢な身体は、限界を感じさせない軽やかさでリンクの上をすべっていく。
 すべっているのか飛んでいるのか―――滑走なのか滑空なのか、まるでわからないと冗談交じりに評される高速のスケーティングが彼女の特徴のひとつだ。そのすさまじい速度のまま踏み切るジャンプは、下手な男子よりも高く遠くへと舞いあがる。あまりの高さに『ドラゴンもまたいで跳ぶ』略して『ドラまたジャンプ』などとバラエティ系のスポーツ番組であだ名されてしまったほどだ。
 体格の小ささを一切感じさせない力強さと繊細さを併せ持つ、アメリアの親友にして競争相手。
 フィギュアスケート女子シングル、ゼフィーリア代表―――リナ=インバース。
 前日にすべての競技を終えたゼルガディスが、アメリアの傍らでその演技を見つめている。
「何度見てもムチャクチャな構成だ………ゼロスのやつめ」
「でも、すべるたびにどんどん完成度があがっていってますよ」
「それはわかっている」
 アメリアは傍らを見あげた。ゼルガディスは面白くないといった顔をしつつも、リンクから片時も目をそらさない。彼のスケートに対しても、リナが与えた影響は大きい。
 それを知ってはいるが、なんだか少し妬ける―――。そんなことをちらりと思いつつ、アメリアもリンクへ視線を戻した。
 リナの演技は、ちょうどいまスパイラル。三秒以上はその姿勢を保たなければいけない。だからアメリアも一瞬、視線を外していられた。
 今季のリナの振り付けを担当したのは、あのゼロスだ。
 必ずその選手の実力よりぎりぎり上という、悪魔のようなプログラムを提案してくる性格の悪い糸目の振付指導は、男子でさえ滑れるかどうかというムチャクチャな演技構成をリナに提案し、リナも不敵に笑ってそれを諾としたという。
 アメリアとゼルガディスは、リナやガウリイとは練習拠点が違う。そのため、初めてそのフリープログラムを見たのはグランプリ・シリーズの初戦でのことだった。
 それを見た二人は、文字通り頭を抱えた。
 事前にメディアでさんざん噂されていたが、六種のトリプルを八回跳ぶという鬼の構成に加え、今季リナが特に注力しているのは―――
 ツイズルをこなした小柄な体が、リンクの端でふわりと動きを止めた。
 小節と小節のはざま。音楽が一瞬沈黙し、そして。

『―――さあ、悪魔が生んだメロディにのってのインバース選手のステップ!』
『まさに悪魔のようなと表現したくなる、怒涛のストレートラインステップです………!』

 リナのこのステップに、そんな陳腐な実況がついていることをアメリアたちは知っている。
 彼女の今季のフリープログラムは『ヴァイオリン・ソナタ ト短調』。通称『悪魔のトリル』。
 夢のなかで悪魔が演奏した曲をもとに作曲されたという逸話のあるクラシックだ。さざ波のように寄せては返すトリルが織り成す第三楽章を大胆に編曲しなおしている。悪魔が奏でてみせたといわれる旋律が、ちょうどいまリナがステップを刻んでいるそのトリル部分。
 エッジが閃く。氷が散り、かすかに鳴る。たたみかけるようなステップにつぐステップ。一瞬たりとも止まらない。トリルに続くカデンツァを奏でているのはヴァイオリンではなく、氷上のリナのエッジワークではないかと錯覚しそうになるほどに激しく、繊細に。曲との一体感がすさまじい。
 無言で見入る会場の興奮が、どんどんその水位を増していくのが肌でわかった。
「ああもう。ほんとに、なんなんでしょうね。リナさんってば………」
 怒涛のステップを見ながら、アメリアは少しだけ拗ねた気分で呟いた。
 リナはすべりたいものをすべる。知名度の高い易しい曲ではなく、解釈や演技の難しい曲ばかり選び、表現したいものを表現し、極めたい技を極める。
 それでいてエキシビジョンでは、ショートやフリーが難解なお詫びとばかりに、非常に凝った演出やノリのいい選曲をしてくるエンターテイナーとしての意外な一面も持っている。
 「ドリョクなんて言葉は鳥肌たつほど嫌い」だの「他の人と同じなんてつまらないでしょ」など、メディアの前でもまるで謙遜したところのない強気な発言と遠慮のない物言いから、天才肌と見られているリナだが、影では誰よりも多くの時間をリンクの上で過ごしていることをアメリアは知っていた。
 ただ本人は、努力しようと思って努力しているわけではないので、その言葉が嫌いなのだろう。するべきことをして、やりたいことをやる。できなければそれがすべて。言い訳などしない。スキャンダルに見舞われようと沈黙を貫き、そして周囲を黙らせるだけの結果をただ提示してみせるのだ。
 リンクの照り返しを受けて赤く透ける眸(め)は、常に高みを目指して逸らされることはない。
 傲慢で冷静で負けず嫌いで。それなのに人を惹きつけて放さない。存在自体が氷上で真紅の炎を噴きあげているような選手だ。
 同じ競技を競う者として、嫉妬せずにはいられない。共闘者であり、仲間でもあるということは、そういうことだ。どれだけ尊敬し、誇らしく思っていたとしても。だからこそ。
 彼女がいま創りあげているこの空気の後に出ていく身としては、なおさら。
「―――だが、お前も負ける気はないだろう?」
 不意にぽんっと背中を叩かれ、アメリアは何度か瞬きを繰り返した。
 途端に、すすり泣くような弦楽器の音色が耳に飛びこんでくる。―――いつのまにか曲が聞こえなくなるほど、うちに入りこんでいたらしい。
 見あげると、あれだけリンクを注視していたはずの氷蒼の双眸が自分に向けられていた。
 試合前はひとり集中して周囲を寄せ付けないリナと違って、アメリアはぎりぎりまで何かしゃべっていたほうが気が紛れるタイプだ。そして最近ではコーチである父親としゃべっているよりも、彼と一緒にいるほうが気持ちが落ち着いて、集中が高まる。
 ゼルガディスもそれを理解しているから、何も言わずともつきあってくれている。本当はものすごく忙しいはずなのだ。今大会男子シングルの銀メダリストは。
 深く息を吸って吐き、アメリアは笑顔で頷いた。
「はい、もちろんです!」
 見つめあっていたふたりは、無言でリンクへと視線を戻した。
 嵐のような拍手のなかステップを終えたリナは、終盤のスピンへと入っていく。
「あ、いまちょっとだけぐらつきましたね。わからないぐらいですけど………」
「さすがに足にくるだろうこのプログラムは………。リナはあまりスタミナがあるほうじゃないしな」
 常に限界に挑戦するようなプログラムをすべるリナだが、その彼女にしても珍しいぐらい今季は後半が危うかった。グランプリシリーズの序盤では、見た目にわかるほどはっきりとステップの足がもつれたことがあり、アメリアは何度かひやりとした。あのときリナが見せた自身への怒りの表情はまだ記憶に新しい。
 もちろんリナはトップアスリートとして、フリーの四分間を滑りきるだけの充分な体力を持っている。加点が多くなる演技後半のジャンプも普段は果敢に挑戦するし、絶好調時はおそろしいことに初っ端から四回転トゥループのコンビネーションを跳ぶことすらある。つまり今回はプログラムのほうが、頭がおかしいのではないかと思うぐらい動きが激しくハイレベルなのである。リナ自身もそれを承知しているので、今回のフリーでは四回転を避け、なるべく後半のジャンプ数を減らしてきていた。
 逆にアメリアはスタミナには自信がある。リナとは逆に、加点を狙って後半にジャンプを多く組みこんでいた。三回転アクセルこそ跳べないものの、リナに劣らず豪快なジャンプを跳ぶ選手として評価は高い。ジャンプ後の失速など、要素のつなぎにまだ甘いところもあるが、それでも充分にメダル圏内にいる。
 不意に、ゼルガディスがからかうようにアメリアに尋ねた。
「リナだってミスをする。安心したか?」
「―――いいえ」
 きっぱりとアメリアは首をふる。
「本音を言うなら、わたしはわたし自身も含めて、一人として、だれにもミスをしてほしくありません」
 出場するすべての選手が、自分の力を出しきってパーフェクトに演技を終えてほしい。悔いのない笑顔と涙を見せ、互いを賛え、その上で競いあって頂点に立ちたい。
 常にそう思っている。それがどれほど絵空事にすぎないことだとしても。
 彼女の答えにゼルガディスは目を細めて笑った。
 その笑顔が、じわりとアメリアの心の奥へと入りこむ。
(わたしは滑れる―――)
 確信が生まれたそのとき、ちょうどリナが演技を終えた。
 割れんばかりの拍手が鳴り響き、花束やプレゼントが雨のようにリンクへと降り注ぐ。花と同じぐらいにラッピングされた食べ物が多いのが、ファンも実によく彼女のことを理解しているといえた。フラワーガールたちが拾い集めていく端から、拍手とともにまた投げこまれるような有様だ。
 だが、やがてそれも落ち着き、すぐに滑走順はやってくるだろう。
 二の腕まである長手袋をきゅっと引き締め、アメリアは銀盤に向かって顔をあげた。
 曲はバダジェフスカの『乙女の祈り』、そして『かなえられた乙女の祈り』より四分間の編曲。
 アメリアなりに今季の課題とされる表現力の向上に取り組んだ結果の選曲だ。
(わたしは恋をしている。そして、その恋はかなう。氷の上で)
 腰から下に水色のシフォンが重なる純白のミニドレス。その胸元にはやはり水色のリボン、二の腕までのペールブルーのロンググローブと、真新しさはないが、思いきり清楚可憐な路線を狙った衣装に、リナは「よくこんなの着れるわね」などと顔をひきつらせていた。
 だが、彼女自身もジュニア時代にピンクの衣装で『花のワルツ』など踊っているのだから人のことなど言えない。本人曰く、あれは無理やり着せられたうえ、選曲も本人の意図したものではないそうだが、その衣装を着たまま公式大会でうっかり四回転など跳んでしまっため、いまでも時折メディアで見かけてはひとり悶絶している。
 その四回転もいまは幻。とかれることのない封印のなかだ。―――それでも彼女はまぎれもなく世界最高峰のスケーター。
 今季のパーソナルベストを更新したリナが、キスアンドクライから手をふる。
 それからおもむろに、カメラに向かって口パクで「アメリア、ファイト〜!」と言って親指を立てた。会場の巨大ディスプレイにその笑顔が映しだされる。
 リナとアメリアが親友同士なのは、ファンのあいだでも有名な話だ。彼女のその仕草に観客の意識が、次の滑走であるアメリアへと向けられる。
 苦笑するしかない。この興奮をはらんだ空気まるごと、無造作に手渡されてしまった。惜しみないエールとともに。
 少し離れたリンク脇からこちらを見つけたガウリイが、アメリアに向かってやはり「頑張れよ」と笑顔で手をふるのが見えた。小さく手をふり返す。彼は彼のただひとりがキスアンドクライから降りてくるのを待っている。
 やがてアナウンスが流れ、名が呼ばれた。
 最終滑走。これが終われば、あとはエキシビジョンを残すのみ。
「―――アメリア、行きます!」
「ああ、行ってこい」
 声に背中を押され、彼女は笑顔を浮かべてリンクへと飛びだした。



 Finished Short Program. Lets enjoy next Free Program !

なんちゃって選手名鑑

【リナ=インバース】
 ホームリンクはゼフィーリア、コーチは姉のルナ=インバース。
 若年化の激しい最近のフィギュア界においてもなお若い、十五歳の若さでシニア参戦を果たした。デビュー当時、まだ子どもじゃないかと揶揄されたが、その成績はとても子どもが叩きだすものではない。出場したその年の大会の金をことごとくかっさらうという鮮烈なデビューを飾り、瞬く間に世界女王として君臨した。
 彼女の強みは多種多様のジャンプを、その小柄な体からは信じられないほどの高さと勢いで跳ぶことにある。ジュニア時代に公式大会で前人未到の四回転アクセルを跳び(ただし跳んだことで着氷時に足首を痛め、最後まで滑りきったもののミスを連発)、フィギュア界にセンセーションを巻き起こしたことはいまだ記憶に新しい。現在では体への負担を理由に、練習時にさえ一度も跳んだことはないが、幻の四回転半がなくとも、女子でただひとり可能とする四回転トゥループを伝家の宝刀に、六種のトリプルを安定して跳ぶことのできる選手である。
 そのずば抜けた技術に裏付けられた自信とスケートに対する冷静かつ真摯な姿勢、逆にエキシビジョンやショーなどで見せる破天荒な明るさとのギャップは、多くのファンを魅了しているが、メディアの前でも臆することのないその毒舌から毛嫌いする関係者も多い。
 シニアデビューを飾った曲は『はげ山の一夜』。五輪ではリストの『死の舞踏』にオルフの『カルミナ・ブラーナ』と、まるで男子シングルのような重厚な選曲が特徴だが、最近では演技に女性らしい情感が加わるようになり、さらなる魅力を増している。
 昨年の冬季オリンピック各種目における大規模な違法賭博と、それにともなう女子シングルの不正ジャッジ疑惑に巻きこまれ、世界選手権連覇の切符を自ら放棄したが、今年はフリープログラム『悪魔のトリル』を引っさげ、男子シングルのガウリイ=ガブリエフ選手とともに鮮やかにリンクへと帰ってきた。

《裏迷鑑》
 すっかり定着してしまった「ドラまたジャンプ」のあだ名以外に、エキシビジョンやショーの破天荒さと普段の食欲から「不敗の魔王」「破壊氷人リナ=インバース」「食べて暴れる混沌の化身」とひそかに呼ばれ、関係者から恐れられている。
 彼女のエキシビジョンはとにかく跳ぶ。スパイラルをして跳ぶ、ツイズルをして跳ぶ、ステップを踏んで跳び、ステップの途中にも跳ぶ。え、いまステップ中だよね? と観客が唖然としている間に跳び終え、知らん顔で続きのステップを踏んでいる。跳ばないのはスピンとスパイラルの最中ぐらいだろう。帽子を手で押さえたり、テニスラケットを持ったままダブルアクセルなどをひょいと跳んでしまうので、彼女のエキシビジョンを見て、ジャンプとはいったいなんなのだろうかと悩む選手もいるらしい。
 そんな彼女の好きなものは焼肉。一昨年の世界選手権優勝時、同じく金メダル獲得のガウリイ=ガブリエフ選手とともに、バラエティ番組の高級焼肉食べ放題企画に招待されたが、最後には店の在庫が空になるほどの量をふたりで食べきり、番組プロデューサーに勘弁してくれと泣きながら拝まれたという。以来、食べ物企画でリナ=インバース選手とガウリイ=ガブリエフ選手を喚ぶのはNGという暗黙の了解ができあがったと噂されている。
 同コーチに師事するそのガウリイ=ガブリエフ選手とは、毎年のようにペア転向疑惑を持ちだされてはその度に否定している仲。
 普段は記者もたじたじとなるほど容赦のない冷静なコメントをする彼女が、この件に関してはムキになって否定するのが年相応に可愛らしく、メディアにとっては逆に格好の話のタネになっているようである。
 シングルでまだまだ技を極め足りない彼女にとっては、非常に不本意な話題なのだろうが、そもそもの原因はエキシビジョンにて時折、両選手がペアの演技を披露し、観客を沸かせるせいである。ペア選手顔負けの息のあったリフトやスパイラルとともに二人の世界を展開されては、「お前らいいからさっさとペア組めよ」と内心ツッコミを入れたくもなるだろう。
 去年のグランプリ・ファイナルのエキシビジョンにて、エプロンドレスのアリスとシルクハットに燕尾服のいかれ帽子屋で演じられた『ふしぎの国のアリス』は、いまでも人気が高いプログラムである。
 今季においてペアのエキシビジョンはまだ披露されていないが、またもや二人で演じてくれるのではないかともっぱらの噂。
 もうお前らいいから結婚しろ。
 
 
【アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン】
 ホームリンクはセイルーン。亡き母をはじめ、姉グレイシア、従兄アルフレッドもフィギュアスケートの選手という、フィギュアの名門一家の出身。
 脚力の強さと柔軟な体を生かした、力強いジャンプと高速スピンが持ち味。女子にはめずらしく高いスタミナを持つ選手で、フリー後半に多くのジャンプを組みこんでくるプログラム構成が目を惹く。トリプルアクセルこそ跳べないものの、残りの五種のトリプルを安定して使いこなすことのできる数少ない選手である。
 またジャンプの他に必ずレベル4の評価を叩きだすスピンも、この選手の魅力のひとつ。片手ビールマンや高速のレイバック、ドーナツスピンなど、多様なスピンを使いこなし、回っている最中は軸がほとんどぶれない。
 ジュニア時代は、先にシニアで活躍し何かと話題をふりまいていた姉の影に隠れ、ほとんど注目されることはなかったが、姉の引退表明後にシニアデビューを果たし、その確かなスケーティング技術が評価され、脚光を浴びることとなった。礼儀正しく快活なその人柄にファンも多い。
 リナ=インバース選手とは何かと比較されることが多いが、当人同士は大の親友で、ホームリンクが違うにも関わらず頻繁に交流を持っている。
 シニアデビューを飾った曲は映画「マイ・フェア・レディ」より『I could have danced all night』。どちらかというと快活な曲を得意とするが『ロビン・フッド』や『火刑台上のジャンヌ・ダルク』など激しい曲もときとして選曲する。
 今季は表現力の向上を課題に、映画「アメリ」より『ピアノによるアメリのワルツ』と『乙女の祈り』でメダルを狙う。
<  
  《裏迷鑑》
 元気いっぱいの明るい笑顔に癒されるファンも多いが、彼女の最大の欠点は大のヒーローおたくであることだろう。昨年フリーの『ジャンヌ・ダルク』は多くのファンを魅了した選曲だが、今年のエキシビジョンの『Mr. イン●レディブル』は解説席のシルフィールと会場のファンを凍りつかせた伝説の予感がする迷プログラムである。本人は『スーパーマン』をやりたかったが周囲から止められた、とコメントしていた。
 彼女の暴走を止めたのは同リンクを拠点とするゼルガディス=グレイワーズ選手で、彼の偉業に多くの関係者が内心拍手したとかしていないとか。だが代替案が『Mr. インク●ディブル』では止めたことになっていないかもしれない。
 そんな彼女の夢は、仲の良いインバース選手やグレイワーズ選手たちを誘って、戦隊物のチャリティーアイスショーを開くことである。