伝承歌

 白い布を被った吟遊詩人は、竪琴を爪弾き、誰に聴かせるでもなく唄う。
 聴くのは、森か、木陰か。動物たちか。永久とわを生きる精霊たちか。
 伏せられた瞳に映すのは、遙かな過去。過ぎ去りし日々。
 いまでは知る者さえいなくなってしまった、長い長い物語を。

 透明な声で。


   女神は深き聖地に眠り
   古の獣は石の中に宿る
   マナは かの石より導かれ
   大いなる繁栄を我等に
   深い悲しみと決意もて
   八つの封印 八つの貴石が集うとき
   聖地の扉は開かれん………


 語られるべきは、蒼穹の瞳、金の髪。
 悲しき宿命さだめのその果てに、マナの剣を抜く少女―――