〈適当な用語解説〉(あくまで雰囲気をつかむためのものです)
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五節……ごせち。源氏物語にも枕草子にも記述のある宮中の一大イベント。用語解説は黒方の巻の〈一〉と〈四〉でも触れていますが、ここでまとめを。
十一月中旬の丑の日から辰の日まで、四日にわたって行われる儀式で、一日目に四人の五節の舞姫が楽屋入り、その夜に天皇の前で一回目のリハーサル。
二日目には二度目のリハーサルで、その後には殿上の淵酔と呼ばれる宴。雪宮が見たのはこれです。
三日目の昼には舞姫が連れてきた女童や下仕えの女の子を眺める童女御覧のイベントがあり、その夜に新嘗祭が行われ、帝がその年の新穀を神に供え、天地の神々に五穀の実りを感謝します。
最終日には豊明節会があり、そのなかで五節の舞が舞われ、舞終わった舞姫は明け方に神事を解くためのお祓いをして退出します。
五節舞を舞う姫は通常四人。三位以上の上達部クラスから二人、四、五位の受領クラスから二人ずつ出しました。藤壷中宮のところか舞姫を出したというのは、上達部クラスのことです。介添えの女房や女童、下仕えなどが15〜20人ぐらい付きました。何せ女童まで眺めるイベントも用意されているので、出す方は金がかかってしかたがなく、嫌がる人も多かったようです(笑)
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典侍……ないしのすけ。後宮十二司、内侍司(ないしづかさ)のNo.2。源氏物語で源氏に色目を使っている心はいつも15歳のお婆ちゃん、源典侍がこのポストですね。本来ならナンバーワンであるはずの尚侍(ないしのかみ)が天皇の奥さん的な役割を兼ねてしまったため、実質的に女官たちを取り仕切るいちばんエライ役職になってしまいました。天皇の髪を結ったり、給仕をしたりと、側近くに仕えました。れっきとした国家公務員。
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小忌衣……おみごろも。白の布に山藍の青色で文様を摺り出した衣で、男の人も女の人も同じ者を着ました。形としてはうーん、唐衣とか汗衫に近いのかな?(汗)
「小忌」とは、不浄を忌む清浄を意味します。えーと、写真は
これ。
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参議……さんぎ。えーと、これも令外官。つまり最初はなかった役職で、法律には定められていない臨時職。臨時職という建前、必ず他の役職と兼任でつとめた、はずです(笑)←よくわからない。
定員は8人。「宰相」と呼ばれることも多いです。陣定(じんのさだめ)と呼ばれる閣僚会議に参加するには最低でも参議になっていなければなりません。なるには幾つかの条件を満たしていなければいけませんでした。位は三位。参議院の参議かな?
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今様……いまよう。平安時代後期に流行した歌謡。今様とは当世風のという意味。要するに、今はやりの歌というわけです。後白河法皇の今様狂いは有名で、ソングブック「梁塵秘抄」を書きました。日本史で暗記させられた人もいるのでは。ちなみにこの本のなかには身も蓋もない歌も。「女の盛りなるは 十四、五、六歳 二十三、四とか 三十四、五になりぬれば 紅葉の下葉に異ならず」。なんつー歌だ(笑)
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角髪……みづら。古事記の時代の男の人がやってた髪型ですね。顔の左右で8の字に髪を結いまとめり、輪っかにしたり、俵のようにまとめたり。平安時代では子どもの髪型でした。