【 掌篇 】 (別窓が開きます)
知らぬうちに花は
未来話。寛弘二年、三月八日。安倍晴明、中宮の大原野社行啓により反閇を奉仕す (『小右記』)。
「―――そういえば、晴明さまの邸の藤は、どのように」
三十一文字
事の発端は、万葉集。
「あら、じゃあ何か一首詠んでみて」
欠けゆく望月
未来話。万寿二年、月は欠けはじめ、人の世は移ろいゆく。
あられ降るなりさらさらに
冬の夜。彰子が何気なく口ずさんだ歌の意味は?
【 短篇 】 (別窓が開きます)
心を君に
「焔の刃〜」の後の話となります。
出雲へ行った昌浩の帰りを待つ彰子―――。
心のなかは、こんなにも昌浩のことばかり。
踏ままく惜しき
「雪が降っていたようですね」
「昌浩が帰ってくるとき、どうしましょう」
外はいつの間にか白一色。
違えた星に祈りの朝を 〈上〉 〈下〉
999年12月。「六花〜」と「うつつ〜」の間の話。
―――その日、彰子に妹が生まれた。
身勝手な願いだろうか。どうか姉妹として結びあえればいいと、願うのは。
もののをりの扇、思はずなる絵など描きて 〈上〉 〈下〉
「彰子さまのものですよ」
更衣(ころもがえ)の日、彰子は蝙蝠(かわほり)扇をもらった。
理まといて吹く風の 〈上〉 〈下〉
「なら、俺が太陰に名前をあげるというのでどう?」
「はっ?」
言われた当の太陰はおろか、他の神将たちまで呆気にとられた顔になった。
【 長篇 】 (別窓が開きます)
君がためにと 居る花は
〈序〉 〈一〉 〈二〉 〈三〉 〈四〉 〈五〉 〈六〉 〈七〉 〈八〉 〈九〉 〈十〉 〈十一〉 〈終〉 〈拾遺〉
互いに手をつないだまま、幸福にあいまいに時は過ぎ。
出逢いから、五年。
―――かぎりなき 君がためにと居る花は。
/入口/